雨と心と平穏と-Written by 直己-宮崎でヨガワークショップ開催
2020/07/06
すごく平和な空間。
この感覚はどこかで感じたことがあった。
どこだろうと昔の記憶を辿ってみる。
無数の広葉樹の間から差し込む優しい光。
コンコンコンとキツツキが木をつつく音。
晴れの日の小さな村に流れる川のきらめき。
「ああ、あの場所か」
僕が思い出したのは、小学校低学年の頃、家族でキャンプに行った森の中だった。
空気が澄んでいて、というよりもっとピュアな。
造られた自然でなはく、人間の手が入っていない自然。
生まれたての赤ちゃんのような場所とも言えるのか。
この日は、そんな空気感を感じた1日だった。
「全国の想いに共感した人、想いに共感した場所とコラボしてワークショップをやりたいね」
まだ京都に住んでいる時に、舞が話してくれたことがあった。
「日本一周の旅で、住むところを探しながらここだ!と思う場所でヨガと撮影のイベントをやれたら面白そう」
とさらに話は広がっていった。
“自分たちが気に入った場所”
というのを大切にしたいと思った。
人それぞれ気にいる場所というのは違う。
静かなカフェが好きな人もいれば、ガンガン音楽が流れるライブハウスが好きな人もいる。
それは自分にとっての心地よさだったり、リラックスできる空間であったりできる場所で、人の数だけ気にいる場所は違う。
僕らの心地よい場所は、僕らにしか分からない。
だからその感覚を大切にしたいと思った。
そして出会ったのが、宮崎県三股町にあるBio works。
京都から宮崎に拠点を移し、食材を買う場所を探しているときに舞が友達から教えてもらったお店だった。
Bio worksに入ると、はじめて来たとは思えない居心地の良さを感じた。
本来の家に帰ってきたような、それは実家というより自然の中に帰ってきたというのが表現として合っているかもしれない。
「たくさんの人がくる訳ではないけど、このお店の想いを好きで来て頂いているお客様のためにやってるんです」
対応してくれた妻と同じ名前の舞さんが嬉しそうに話してくれた。
オーナーの幸代さんも来てくれ、みんなで食についての話になった。
「体に優しい食材を選ぶことって大事。でも体にそんなに良くない食べ物も食べてはいけないのではなく、食べてもデトックスできる体をつくることも大事だと思うんです。どちらかに偏るのではなく、バランスをとることを大切にしたい」
僕らは、Bio worksさんが大切にしている想いが好きになった。
初めて行った帰りの車で、「Bio works さんでワークショップしたいなあ」
と舞が言い、
「食とヨガをコラボしたワークショップをしませんか?」
と2回目に行った時に声をかけた。
幸代さんも「やりましょう」と二つ返事で答えてくれた。
そうして実現した宮崎初のコラボワークショップ。
7月5日の当日は、梅雨終わりの強い雨が降っている日になった。
「雨の音が最高の音楽になるね」
お店の窓から外を見ながら舞は笑って言った。
最初に来た参加者は舞の中学からの友達。
顔を見るなり、二人はハグをした。
強すぎて友達の髪と舞のピアスが絡まり、笑いが起きた。
続々と参加者が来られ、あちこちでお話が始まる。
みんなが揃い幸代さんの挨拶から始まり、舞のヨガにバトンが渡される。
僕は舞のオープニングトークが好きで、今日も楽しみに待っていた。
「雨と心と平穏と」
今日のお話もとても心地よく、体の中に流れていった。
ヨガが始まり、僕とあかりちゃんはみんなを見守る。
雨の音、舞の声、時々起こる笑い声。
ヨガをしていない僕も、そこにいるだけで幸せな気持ちになった。
平和な空間でピュアな空間。
”心地いいなー”
この言葉を使うにぴったりの空気が流れていた。
あかりちゃんも安心したからなのか途中で寝てくれ、少しだけ撮影することもできた。
ヨガの後は、幸代さんの夏の食養生のお話し。
目から鱗ではじめて知ることばかり。
「子どもは陰よりの食べ物をたくさん摂ってもいいのかー。食べ物の陰と陽のバランスがあるなんて考えもしなかったな」
と新しい考え方にさらなる食の面白さを感じた。
あっという間の1時間半。
そんなお話会とヨガのコラボワークショップは、無事に成功した。
僕らにとって、想いが重なる場所でのワークショップが成功して嬉しかった。
でもそれよりもみんながほっこりリラックスできて、帰ってくれたことが嬉しかった。
やると決まって、告知したのが5日前にも関わらず満席に。
来ていただいた初めましての方も、久しぶりの方も本当にありがとうございました。
僕らは今月旅に出るけど、Bio worksさんでは季節の食養生のお話し会をシリーズ化されるみたい。
「宮崎に帰ってきた時は、また一緒にやりましょう」
と嬉しいお言葉も。
ぜひやりましょう。
「次はどんな人と場所に出逢えるかなー」
と、帰りの車の舞はいつにも増して嬉しそうだった。
この笑顔をいつまでも見ていたいなーと思いつつ、昔見た平和な森の記憶を思い返していた。
Photo & Written by 溝口直己