アイデアは移動した距離に比例する
2020/03/11
アイデアは移動した距離に比例する
By 高城剛
この言葉は本当だった。
先日、舞ちゃんが友達に会うのに、兵庫まであかりちゃんとお出かけする日があった。
「運転していこうか?近くでカフェ見つけたら仕事できるし」
と本来の思いは、長時間の運転での舞ちゃんとあかりちゃんを心配したからであった。
山の中の友達の家まで送り届け、僕はGoogleMapで近くのカフェを探した。
こんな場所にあるのかなと正直不安になるくらいの地域だったが、何件かはあるみたい。
ここが良さそうだと感じたカフェは、全てが僕にとって抜群のところだった。
窓際の席に座った。
ランチは豆腐ハンバーグをメインとした野菜中心の日替わり定食一択のみ。
迷わない仕組みはとても好きだ。
すぐに注文した。
目の前の大きな窓からは、青空とたくさんの竹林が風になびいて踊っている様子が見える。
急に天気が変わり出したかと思ったら、あられのような少し固まった雪が、東南アジアのスコールのように降り注ぐ。
まるで異世界に迷い込んでしまったような風景を、食事が来るのを待っている間、ただただ楽しんだ。
料理が出て来た。
目の前のテーブルに置いてもらった時、ある不思議な感覚を得た。
料理のためにこのお店があるというより、目の前に広がる風景のためにこのお店、料理があるのだと感じたのだ。
その料理は風景と調和し、僕の五感を喜ばせてくれた。
食べ終わると、ノートパソコンを広げゆっくり仕事に入る。
写真データ編集、文章執筆、旅中の生きていくアイデアの転用、本からのインプット。
自分でも驚いた。
いつもの2倍、いや3倍くらいのスピードで仕事と勉強が進んでいく。
3時間という限られた時間で、僕は圧倒的なパフォーマンスを残すことができた。
それは、間違いなく1時間半かけてここに来た恩恵だった。
家で仕事をしていた方が、移動時間もなく、もっとたくさんの仕事時間を確保できただろう。
家でご飯を食べれば、お金も全くかからなかっただろう。
でも家で仕事するよりも、はるかに上回る成果を上げれたのは、兵庫まで旅に出たからだった。
その時にはっと思い出した言葉が
「アイデアは、移動した距離に比例する」
という旅人の高城剛さんの言葉だった。
日本でも一本違う道に入れば、全く新しい風景が見える。
それに気づくかどうかは、どれだけ目の前の今を生きているかだと思うし、日々の心と体のメンテナンスで変わってくると思う。
その中で感じる気づきやヒント・アイデアと、自分が好きでやっている仕事を組み合わされば、それはもう自分だけのコンテンツとなっていく。
そう気づかせてくれた至極の旅になった。
さらに日本全国をまわるのが楽しみになった。
でも何より一番幸せだなと思ったのは、兵庫行き帰りの車の中で舞ちゃんとたくさん話しできて、今お互いが大切にしたいものを再確認できたこと。
僕らはやっぱりシンプルな暮らしが好き。
荷物も心も軽くして、いつもの日常を楽しむ。
これから旅に出て毎日が非日常になっていくと思っていたけど、それもいつもの日常。
朝起きて、夜眠る。
それは誰しもに与えられた権利であり、また誰しもには与えられていない権利。
今の京都の日常だって、非日常であって、日常なのだから。
Photo & Written by 溝口直己