衝撃が走る服を着る
2020/06/01
共感したものを身に纏おう
「今日も服装めっちゃ変!」
僕が学生時代から大人になってからでも言われ続けていた言葉だ。
おしゃれのおの字も分からず、いつも服装を誰かに笑われては顔を真っ赤にしていた。
「服には興味がないから」
と言いつつ、影では雑誌を見たり、インターネットで調べたり。
地元福岡のお洒落な人が集まる町、大名にこそこそ服を買いに行ったりもした。
だが一向に服のセンスは変わらない。
変わらないどころかさらに迷走状態になっていった。
大学を休学し、日本一周の旅に出ると服装は
自然と短パンとタンクトップになった。
何も考えなくてよかったからだ。
その他の全ての服は、旅で出会う人からの頂き物になった。
そのことも僕を安心させた。
自分で買ってないから似合わなくてもしょうがないと思えたからだ。
(もちろん大切に着ていました。旅で服をくれたたくさんの方ありがとうございました!)
だが日本一周の途中で、住み始めた関西で再び起こった現象。
それが
「おまえ服ださいなー」
だった。
もうどうすることもできなかった。
今は分かる。
僕は自分の着たい服ではなく、
いつも誰かに見られる前提で服を選んでいたということを。
でも関西に住んでから7年経った、ほんの最近まで分からなかったのが事実だった。
もう服に悩まされる人生を終えようと決心した。
今回の旅の準備で1番始めにやったこと。
それはいらない服を全て手放すことだった。
持っていた服の98%をなくした。
そして僕は選んだ。
自分が本当に着たいと思うふたつのブランドの服を。
ひとつはPatagonia
もうひとつはsnow peak
Patagoniaは、出会った頃の舞が子供のように「Patagoniaのウェットスーツは再生可能で、30年以上も生産することのできるへベアの木のラバー作られているんだよ!これからの地球のことを考えててすごいね」と興奮して話してきたことがきっかけだった。
そのときの舞の表情は今でも忘れられない。
snow peak は、「人間性の回復」を使命としているのに衝撃を受け、知れば知るほど大好きになった。
その時に気がついた。
「そうか。僕は想いが共感でき、衝撃が走る服を着たかったのか」と。
このふたつのブランドから、僕は自分という人間を知ることができた。
そして自分の服の買い方を28歳でやっと知ることができた。
誰かが着ていてよかったからとか、今年流行っていておしゃれだと思われたいからとか、そんな気持ちで服を買わずにいられる。
それがこの先続いていくと思うと、こんなに幸せなことはないと思った。
「今日も変な服着てるねー」
と笑われてもいい。
これからも自分に衝撃を与え続けてくれる服を、
自分で選んでいくのだから。
Photo by 溝口直己,mai
Written by 溝口直己