草取りは最高のアクティビティ
2020/05/11
草取りは最高のアクティビティ
「これは手に負えないな」
僕らが宮崎の家にやってきた時、お庭を見て言葉を失ってしまった。
四方八方に伸びきった野草、さらにたくさんの木々が天に向かって高く高く伸びていた。
まるでジャングル。
宮崎では、キャンピングカーの内装、外装の改修の他に、このお庭掃除を主な目的としていた。
手をつけようとするが、なかなか気持ちが乗っていかない。
そこでアジトに着いての最初の2日間は、住めるように家の中を掃除した。
ホコリをはわき、床を久しぶりに雑巾で走っていく。
久しぶりの感覚に気持ち良さを覚えながらも、これからあのお庭が待っているのかと思ったら、
「大変なところへ来てしまったのかな」
という気持ちが湧いてきている自分がいた。
「ただきれいにしたいの」
宮崎について3日目の昼頃、舞ちゃんが急にお庭に出てそう言った。
“ただきれいにしたい”
この言葉を聞いた時、心がすっと軽くなった気がした。
これまで生きてきて、なにかに対して、それは夢だったり目標だったりを追いかけて、物事をしていた。
そんな僕からは無縁の、ただきれいにしたいという目的のない作業。
この行為がとても素敵なことのように思えたのだ。
「もちろん。きれいにしよう」
僕も嬉しくなってそう言った。
それから毎日30分ずつ、交代で草刈りをやっているが、これが僕らの最高のアクティビティになっていた。
地球に腰を下ろし、生命力の塊の草を取り、根っこについてくる土を自らの出て落としていく。
ダンゴムシやミミズ、アリの巣、時にはムカデの親子たちを見つけては、子供のように目を輝かせた。
頭の中は空っぽで、いわば瞑想をやっている時のように無心で、そして穏やかでいる状態が続いていく。
30分のアラームが鳴っても、僕らはなかなかやめない。
草取りをやめたくなくなっていたのだ。
子供から大人になるにつれ、なぜか土を触ると汚れるだの、虫は嫌いだのなってくる。
でもやっぱり地球と遊ぶことは自分を元気にさせてくれる。
その地球との遊びが、僕らにとって草取りであり、ステイホームの家にいる時間でできる最大のアクティビティであるのだ。
僕らは草取りを始めて、一段と幸せになった。
みなさんも今の大切なステイホームの時間に、やってみてはどうだろうか?
旅が始まって僕らが日本をまわり始めたとき、あなたの家の近くに来ていたら
「私の家の草抜きをやって欲しい!」
と言ってくださいね。
喜んでさせていただきます。
草取り後に、お風呂に浸かれたら嬉しいです。笑
Photo by 溝口直己 & Mai
Written by 溝口直己