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加計呂麻島の子どもたち

テーブルを片手で持てると幸せになる

2020/02/17

テーブルを片手で持てると幸せになる

 

「キャンプのテーブルにしようよ!」

舞ちゃんはウキウキした表情で、目の前のテーブルを見ていた。

 

僕は大阪に出て来てからというもの、物を増やすことが苦手になり、一人暮らししていた時は机、布団、TV(アナザースカイの録画だけ見ていた)、服といった必要最低限の物しかなかった。

 

大学へ行っていた時の家を知っている人は驚きだと思う。

床には柿ピーが散らばり、僕が家にいなくても誰かは家にいて、服も何もかもが散乱し荒れ果てた家。

たくさんの物と、大学生はこうあるべきだという思考に完全に支配されていた時代があった。

 

そんな僕でも旅を知り、旅に行くのが大好きになり、大阪に来た7年前からは、時間ができると、家の中でいらない物はないかと探すようになっていた。

今思うと、いつでも今の場所から移動できるよう自然と準備していたのかなと思う。

 

「こんなに荷物少ないの?」

今の家に引っ越しして来た時、僕はダンボール4箱と冷蔵庫、女性の舞ちゃんでもダンボール7箱と洗濯機という最小の荷物でお互いに驚きあった。

荷解きは2時間ほどであっというま。

新婚生活の僕らの家はリビングは空っぽ。

カーペットもソファもテーブルも何もなかった。

 

”家族で旅に出る”

結婚を決めた時から、準備は始まっていた。

ただ最初の準備は、旅に使う何かを持つことではなく、いらないものを最大限まで減らしていくことだった。

 

物は何もなかったが、心は満たされ、僕らはワクワクが止まらなかった。

 

「テーブルはキャンプのテーブルにしようよ!そしたら家の中でも外でも使えるよ」

舞ちゃんが目を輝かせながら言った。

僕の何十倍も環境に負荷をかけない生活をしていた彼女。

”ものを持ちすぎない”という感覚で生きている人は考え方は、まさに身軽だった。

もちろん賛同し即購入した。

 

そして買ったキャンプ用のコールマンのテーブルは想像よりも凄まじい活躍を見せた。

キャンプに行く時の身軽さはいうまでもない。

自宅でも、ヨガクラスの時はリビングからひょいっと片手で移動させることができ、カレーランチがある時はまた一瞬で持ってこれる。

テーブルの移動が軽いことの威力は、ぜひ一度体感してほしい。

これほど生きててこんなに「心も体も楽だー」と思うこともないかもしれない。

 

少し言い過ぎかもしれないが、固定電話が携帯電話になったくらい身も心も身軽になった。

 

「旅に出てからも、また住むところが決まってからもこのテーブルは側にいてくれるんだろうなー」とテーブルに微笑んだ。

テーブルが家族のような存在になっていることに嬉しくなった。

 

「大好きな物に囲まれて暮らすのは、家があってもなくてもできることなんだな」

と気づかせてくれた瞬間でもあった。

 

去年の年末で、さらに僕らの物は減った。

服や食器、今まで好きだった大量の自己啓発の本はほとんど売ってさらに身軽になった。

本に関しては、今熱中している”禅”の本をたくさん買っているが、それはまた今度にでも話そうかな。

 

今はとりあえず、片手でひょいっと持てる、好きなテーブルを見つけると幸せになれるかもよーっていうのを伝えて終りにしよう。

雨の日のデイキャンプ

Photo & Written by 溝口直己

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