終電間際まで撮り続ける~出張結婚式撮影~
2020/01/15
浜松への出張結婚式撮影
「民宿する場所が決まったら絶対教えてくださいね!」
別れ際で、2人は笑顔でそう言ってくれた。
僕もにっこり微笑むと式場を後にした。
和装の前撮りで出会い、結婚式の本番撮影まで撮って欲しいと言っていただいたのは確か10月の中旬だった。
「溝口さんに撮っていただけないなら、結婚式辞めます」
とまで式場さんに言ってもらったという。
僕は興奮を抑えきれてなかったと思う。
メールを見てすぐに返信をした。
「日程を調整します。ぜひ撮影させていただきたいです」と。
次の日には撮影が決まった。
京都から浜松への出張結婚式撮影。
昼から夜中までの撮影でホテルまで用意してくれた。
朝、新幹線へ乗り込み、大好きな本を広げる。
だが頭の中は、もう式場にいるかのように撮影のイメージが膨らんでいった。
ワクワクが止まらなかった。
おふたりはまるで月と太陽。
哲学などではよく男性が太陽、女性が月と表されることが多い。
しかしおふたりは逆で、新郎様が月で、新婦様が太陽だと思った。
自分が決めたことはなんでも実行するパワーを持っている新婦様。
それを影からそっと支え、時にはしっかりと想いを伝える新郎様。
僕は前撮り、打ち合わせと時間を重ねるたびに、おふたりのことが大好きになっていた。
「ゲストの楽しんでる様子をたくさん残して欲しい」
打ち合わせの時に1番に口にされた言葉だった。
たくさん走った。
たくさん笑った。
撮るたびにおふたりのことがさらに好きになっていく。
ゲストのこともどんどん好きになっていく。
二次会まで撮影し、気づけば撮った写真は8,000枚を超えていた。
「溝口さんが動く場所場所に、笑顔があふれていました。本当にありがとうございました」
撮影終わりの控え室で新婦様が言ってくれた言葉だった。
その時の表情を見た時に「ああ。だから僕は撮り続けるのか」と思った。
それから再会の約束をして、僕は終電ギリギリに間に合うよう駅に向かってダッシュで走り始めた。
Photo & Written by 溝口直己