大切なのは家族との写真だった~二十歳の成人式前撮りロケーション撮影~
2019/12/30
大切なのは家族との写真
「この写真でお願いします!」
その写真を見たときに僕は思わず涙が込み上げてきた。
二十歳の振袖でのロケーション撮影のアルバム構成を決めるやり取りの中でのことだった。
撮影する二十歳の子とその家族が、底抜けに仲がいいことは撮影前から知っていた。
撮影日も変わらず仲がよく、笑いが絶えない一日になった。
早速データを編集し、携帯でもパソコンでも見れるウェブギャラリーを送った。
「アルバムで使いたい写真があったら言ってくださいね」と伝え、お返事を楽しみに待っていた。
というのも、11月後半の紅葉の色づき具合、天気は快晴、、撮影中の空気感、全てが最高だった。
二十歳という子どもから大人へと成長する、可愛らしさと大人っぽさの両方をしっかり写真に残せたと思っていた。
僕も大好きな写真がたくさんあった。
二十歳の成人式の振袖ロケーション撮影は、データの7割はソロショットで、残りの3割でその日を思い出すことのできるイメージカットや家族との写真を撮っていく。
もちろんアルバムに使いたい写真はソロショットだと思っていた。
だが、返信に添付された写真にはソロショットは一枚もなかった。
送られてきた7枚の写真全てが家族との写真だったのだ。
僕は驚きを隠せず、そして感動してひとり涙した。
普通二十歳だったら、自分の可愛い写真を数枚選んで送ってくると思う。
だが自分だけのソロショットは一枚も選ばず、両親、兄弟、愛犬と一緒に笑っている写真を選んでくれたのだ。
10代の頃はやんちゃしすぎていたことも聞いていた。
それ以上に、日々家族のことを一番に考えていたことも聞いていた。
「こんな子が世の中にいるんだなあ」
僕はとても嬉しくなった。
生き方ってこういう小さい選択にこそ出てくるんだなあと思った。
そして二十歳の成人式の振袖撮影が、自分や家族、周りの大切な人を大切にすることへの可能性に気づかせてもらった。
またこれからも二十歳の成人式撮影撮りたいなあ。
ぜひ家族と一緒の撮影をお待ちしております。
Photo & Written by 溝口直己